迷参謀アルマジロの日々是修行日記
カテゴリ:予防・戦略法務のこと( 55 )
「プロジェクト・マネージメント(4)」
  「プロジェクト・マネージメント」のお話をしたついでに、「プロセス」という要素に少々触れておきましょう。

  記憶が正しければ、以前にも若干書いたような気が致しますが・・・

  「プロジェクト」を遂行するにあたっても、言わずもがなではありますが、立案から最終目標までの長い道程の「プロセス」は、小さな「パス」あるいは「ゲート」の積み重ねで出来ています。そして、この「パス」には大きく分けて2種類の性質のものがあり、ひとつはその「パス」を必ずしも通らなくてもゴールに辿り着ける「パス」(たとえば、他の「パス」を通ることによって・・・)、もうひとつはゴールに到達するためにはその「パス」を必ず通らなければならない「クリティカル・パス」と呼ばれるものがあります。

  これらの「パス」の性格や通る順序などを考えながら、その時々の周囲の状況をも考慮して、最も効率的な、あるいは、最も安全な、などといった「プロセス」を立案して「プロジェクト」を遂行していくわけです。
こんなことを書くと、「難しそうだ!」なんて直感的に思う方もいらっしゃると思います。しかし、その感覚は半分正しいとは思うけど、残りの半分は「そうでもないよ!」というのがアルマジロの感想です。というのも、別に特別な思考方法ではなく、どこか材料を調達してから後片付けをするまでの料理の過程と基本的には同じだと思えるからです。もっとも、料理などの場合と同じく、いわゆる要領の悪い人にとっては「難しい!」ということにもなります。

  今回、何故「プロセス」に触れようかと思ったかというと、最近あるプロジェクトを遂行していく中で、相手方のリーダーが引き起こした混乱の原因が「パス」の順番を大きく間違えたことにあったからです。一言相談して頂ければ今回の混乱は簡単に避けることができたのですが、とかく「プロセス」感覚に乏しい人、つまり、要領の悪い人は、他人と相談するとか他人に尋ねるといった「パス」をお持ちでないことが多いように感じます。敢えて言うまでもないことかもしれませんが、「プロジェクト・マネージメント」の極意のひとつは、チーム・メンバーの性格や要領の良し悪しを頭に入れつつ、常に彼らの動きを客観的に観察することです。

  P.S.

  要領の良し悪しを判断するには日頃の仕事っぷりを観察していればよくおわかりになることと思います。その他の方法としては、キャンプや合宿などのの機会に料理を作らせたり様々な活動をしているとよくわかりますよね。さらには、科目数の多い試験勉強を短期的にこなせるか否かも、要領の良し悪しを反映するバロメーターだと思います。
by hayakawa-houmu | 2011-05-09 05:48 | 予防・戦略法務のこと
「社会人2年生からの質問」
  もうすぐ大会社の社会人2年生となる友人(!?)から質問の電話。

  先日の大震災を契機に、社内の「リスク管理体制」を見直せとのお達しが出て、新社会人2年生もアイデアをひとつ上司に提出しなければならないのだとか。

  ところで、「リスク管理体制」の「リスク管理」とはなんぞや・・・一流大学で開講しているある講座の中でもたしかにこの単語は出てきた・・・あの講座、たしか成績も良かったはず・・・だけど、ほとんど覚えていない・・・とのこと。 アルマジロにとっては、そんなことはよくある話で・・・なんていうことは、どうでもよいのだが・・・

  「リスク管理」をわかりかすく説明するにはいろいろな説明の仕方があるとは思うけど・・・

  (1) まず、「リスク管理」とは、「リスク」(危険、危機)を管理(マネージ)すること、だよね。そして、「管理する」ということは、まあ、この場合は「野放しにしておかない」「対処しておく」という程度の意味だと思う。

  それでもって、この考え方の前提は、

  (2) 人間や企業は、様々な目的を持って行動し続ける存在であること(企業活動を一切しなければ休眠会社としてリスクはないというのは別論ということ。もっとも、10年もすれば、会社登記抹消のリスクはある。)
  (3) 「行動」するに際しては、確率の大小を問わず、リスクは必ず存在するということ(だから、必ず損しませんという投機はまやかしものなんだよね)。
  (4) また、ある行動によって一定の成果(たとえば、+10)を得ようとすれば、それと同等の危険(たとえば、ー10)が存在すること(だから、ー5の損失までしか耐えられない人や企業が+10の成果を求めていると博打的な行動になってしまう。 あるいは、「身の程知らず」って奴かな。)。
  (5) 「リスク」は、その「行動」をとらないという方法以外では決してゼロにはならない。しかし、上手に対処することによって、そのリスクの大きさ(マグニチュード)を減らすこと、つまり、「管理」することはできる。

  ・・・ということなのだけど、具体的に何をやるかを端的に挙げれば、

  (1) 身の回りに、どのような大きさの、どのようなリスクが存在しているのかを洗い出し、大きい順に並べてみて、
  (2) 上から順に、リスクを減じるための対処方法とそのコスト(費用)を考え、可能な限りそれを実践し、
  (3) 身の回りに存在するリスクの総量を減らして適切に管理すること、つまり、野放しにしないこと。
  (4) また、何かにチャレンジをするときには、そのリスクを適切に把握し、有効に対処し、それでも身の程知らずのリスク量になってしまうものには手を出さないこと、等々。

  ・・・と、そんなことを話していたら、「なんだ、そんなこと、野球とかバレーボールやる時には普通やってるじゃん!」の声。 「ふつう」とか言われてもねー、と思いながらも、そう、たとえば、野村元監督お得意のピッチャーの配球や一球毎の守備位置の変化などなど、あるいは、バレーボールにおけるレシーブの陣形、ラグビーにおける守備陣形等々、みーんな「リスク管理」という考え方でたしかに成り立っているよね。

  ま、細かいことを言えばきりがないけれど、こんな概略でとりあえず今回はご理解頂いたようです!

  実際に「リスク管理」の計画を立てて、実行に移すにはかなりのエネルギーを要します。何故なら、作業に手間が掛かり従業員全員の理解を要するというだけでなく、将来必ず起こるとも限らない事象に対しての努力であり(ある確率では必ず起こるのですが・・・)、もしそういうことが将来起きた時には損失を減らすことが出来ると頭では理解できても、目の前のキャッシュは増えるどころか、管理費用として減っていくわけですから。

  とはいえ、関係各位の生命・身体・財産を守るためには、必ずやらなければいけないことなのです!

  そうそう、お米や水等の買い占めは止めましょうね。それを「リスク管理」と呼ぶこともできそうですが、本来あるべき理性的管理ではなく、単なる感情的あるいは反射的行動である場合が多そうですから・・・(汗)

  P.S.

  ところで、試験に落ちるリスクを避けるために試験を受けないというのは「リスク管理」の手段たりうるでしょうか。たしかに、試験に落ちて生じる嫌な気持ちを回避するためにはそれもよいでしょう。しかし、それは、その試験が何事にも影響を及ぼさない試験である場合に限られますよね。たとえば、卒業のため、とか、入学のためとかに必要な試験の場合の適切な「リスク管理」の手段は、おそらく、合格する程度に一生懸命勉強するということだと思います。試験を回避するという選択肢は通常ありませんからね(笑)
by hayakawa-houmu | 2011-03-28 06:05 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(9)」
  「調停」についてのお話も今回が最終回・・・といっても、アルマジロが現時点で考えていることについての「まとめ」として・・・

  「裁判」における「裁判官」の仕事でも同じことがいえると思うのだけど、「調停」における「調停人」にとって最も大切なことは、1)良識をもっていること、そして、2)一般人としての考えに立っていることだと考えています。 ここで「良識」とは、「調停人」に必要とされる専門的知見を有していることや、健全なバランス感覚や判断力等のこと、また、「一般人としての考え」とは、「調停人」だからといって「一般人」とは異なった特別の考えが必要なのではなく、一般の誰もと同じ目線に立って考えるということです。

  たしかに、「裁判」にしても「調停」にしても、技術的なことも大切だとは思います。しかし、その「技術」は、上記の「良識」や「一般人としての考え」の上に成り立つもの、あるいは、これらを前提とするものでなければなりません。したがって、たとえば、「良識」や「一般人としての考え」の欠如を「技術」で補おうとするのであれば、それは本末転倒も甚だしいと言わねばなりません。

  裁判官の考え方がかつて、「技術」に走りすぎているのではないかとの痛烈な批判を広く社会で受けていました。裁判官の中にも、同じように感じられていた方達がいらっしゃいました。現在の裁判にもその批判が当てはまるか否かはさておき、司法改革の一産物の「民間調停」が国民に受け入れられるためには、良識に溢れ一般人の目線に立って考えることができる「調停機関」及び「調停人」の存在は、最低限必要なのだと思います。

  そして、対話促進型調停においても、「良識」や「一般人の考え」という基盤の下に、いわゆる「全人格」をもって紛争解決のお手伝いが出来るのだと考えています(「全人格」とか「人間力」という言葉はあまり使いたくないのですが、「技術」に対する「人間性」の問題として捉えて頂ければ幸いです。)。決して、言い換え技法等の「技術」が優れていれば紛争が解決できる、というわけではないのです。

  最後に、自分自身への戒めとして一言・・・「理論や理屈、技術のみに走るな、人間を磨け!」

  決して、精神論に走っているわけでもありませぬが・・・どのような世界でも、理論や技術のみですべてを解決させたがる人は少なくないですからね! どのような職業においても、それらだけで成功しえないことは、歴史を振り返ってみれば明らかにも拘わらず・・・(寂)

  ちょっち大袈裟かも知れませんけど・・・(笑)
by hayakawa-houmu | 2011-03-22 05:53 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(8)」
  さて、そろそろ「調停」制度のキモ(胆)のお話!
  
  まず、対話促進型「調停」ではケンカしているお二人(紛争当事者)の問題を話合いで丸く収めようというのですから、当事者間で中立の立場の調停人にはそれなりのスキルが必要なことは想像に難くないですよね。漫画に登場するようなメディエイターなら国家間の紛争の仲立などして、なかなかクールな仕事のようにも思えます。そこで、「調停」スキル向上のためにロールプレーに没頭したり、専門的知見と呼ばれる法律などの知識を身に付けたりするわけです。ここまでで言えば、スキル向上や専門的知見の習得などをバランスよく目指すことが必要です。

  もっとも、制度としての調停を支えるために、特に日本においては、当該制度が国民に認知されることが必要です。何故なら、どんなに素晴らしい調停人を揃えたとしても、「調停」という制度が国民に知られていなければ利用する人も限られ、「宝の持ち腐れ」となってしまうからです。この点、司法制度改革以降、少しづつではありますが、状況が改善しているようにも統計からは思えます。しかしながら、今後の改善の余地はまだまだ大きいと思います。

  さらに、制度としての調停を支える重要な役割は、いわゆる「ケース・マネージャー」、あるいは、手続管理と呼ばれる仕事です。これは、ある方から相談があったときに、調停の仕組みを説明したり、申込みを受け付けたり、紛争の相手方に連絡をとったりなど、調停の一連のプロセスを管理するものです。そして、この中で最も重要となる仕事が、紛争の相手方に調停の席についてもらうことを促すことです。紛争の相手方が調停の席に着かない以上は「調停」は絶対に成立しませんからね。「調停の席についてもらえば、ほぼ半分は合意に達したも同じ」といわれる程に、この仕事は重要かつチャレンジングなものです。先日も、日本ADR協会の実務情報交換会及びシンポジウムに参加してみましたが、さまざまなADR機関の共通する悩みがここにあることは明らかでした。

  このように考えてみると、アルマジロ的には、現段階における調停の花形は手続きを管理する「ケース・マネージャー」ではないかとさえ思います。野球に喩えれば、知恵・注意力・決断力などを駆使するキャッチャーでしょうか。調停人の「女房役」といったところですね。アルマジロの少年野球時代は内野手でしたが、今は「調停」におけるキャッチャーに大きな興味を持っています。

  P.S.

  少年野球では、今も昔もピッチャーという目立つポジションをやりたがる子が多いようです。野球のキャッチャーは地味なポジションとお思いの方も多いと思いますが、特にコントロールの良いピッチャーのときのキャッチャーの仕事は実に面白く、試合を組み立てるという意味において、決して地味なポジションではないと思います!
by hayakawa-houmu | 2011-03-09 05:43 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(7)」
  そんなこんなを書いているうちに、昨年末から1月にかけて、アルマジロが所属する調停センターにおける「調停人候補者」(実際に調停を行うことができる調停人プール)と「手続管理委員候補者」(いわゆる「ケースマネージャー」を行う人のプール)を拝命致しました。

  調停の分野は、とりあえず「外国人」の就業・教育等に関わる紛争です。動物に関わる紛争と賃貸住宅における敷金・原状回復に関わる紛争については、考査の結果や他資格要件は充たしてはいるものの経験年数が足りないため、あと3年はお預け状態となります(涙)

  「調停人候補者」として名簿登載されたからとはいえ、調停人修行は永久に続きます。そして、これは人間修行の場でもあります・・・ということで、その一環として先日もガチンコのロール・プレイにチャレンジする講座に参加してきました。

  調停に関わる人の馴れ合い集団ではなくて、本物の俳優を相手にしたガチンコ調停。サングラスは投げつけるわ、怒鳴るわ、椅子を蹴って退室するわ・・・紛争当事者の感情を有効にコントロールできないと大変なことになります。ガキの頃からケンカ慣れしているアルマジロにとってはある程度冷静な世界にいられるのですが、普通の方にとっては、ロール・プレイであることを忘れてマジな世界へと入ってしまいます。これは決して悪いことではなく素晴らしいこと・・・アルマジロが立ち会ったロール・プレイでは、遂に「魂の説諭」を目の当たりにすることに。

  「魂の説諭」・・・これは、本当にすごいです。テクニックとかといった小手先のものではなく、目には涙さえ浮かべての説諭です。本番の調停における調停人のパフォーマンスの良し悪し、深さといったものは、総合的な人間力に依存するというのも決して大袈裟ではないかもしれません。

  本を読めば、身に付く知識や理論は増えます。しかし、その知識や理論だけでは問題が解決しないことを、我々は自覚すべきですよね(おそらく、知識や理論で解決できるのは、学校の試験の問題くらいでしょう!)。 では、何が必要か・・・それは人間力であったり、物事の本質を追求する飽くなき心なのだと思います。

  アルマジロらしくない言動かもしれませんが・・・(笑)
by hayakawa-houmu | 2011-02-16 06:24 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(6)」
  前回触れたような調停に必要なスキル、特にファシリテーションや傾聴のスキルをどのように身に付けるかと言えば、基本的には理論書を勉強するだけでは駄目で、実際にやってみることが肝要である。「習うより慣れろ」という諺もあるところである。

  そこで、「ロール・プレイ」という手法が登場する。調停人役と当事者役2人という役割を定めた上で、紛争あるいは当事者の設定が与えられ、模擬調停を実際に行ってみるという作業である。時には、当事者役2人は本物の俳優さんに依頼して、当事者の心情に関するリアリティーを上げてみたりもする。

  この「ロール・プレイ」、アルマジロにとってはいつもとても興味深く感じる。調停人役をやるときはもちろん、当事者役をやるときであっても、あるいは、他人のやっているロール・プレイを観察しているときであっても、単に、「興味深い」というよりも、「対話促進型調停とはなにものか」ということを理解するのに非常に勉強になるのである。

  そうは言いつつ、「ロール・プレイ」が万能な練習方法ではないことも理解すべきであろう。「ロール・プレイ」はあくまで「ロール・プレイ」、どこまでいっても「リアルの調停」とはならないのである。「ロール・プレイ」はあくまで「リアルの調停」遂行のために必要な技術を習熟するためのものであるというその地位を、常に頭の隅においておかなくてはならぬのであろう。

  また、何事でもそうだが、対話促進型調停といっても、そのスタイルはひとつに限られるわけではない。目的が紛争解決にある以上、紛争の種類や性格、調停人の個性、当事者の人となり等によって、核心へのアプローチの仕方はいろいろあって然るべきであろう。もちろん、そのことを自身の未熟さの隠れ蓑にしてはならないけれど・・・

  アルマジロの調停修行はまだまだ続く!
by hayakawa-houmu | 2011-01-28 05:43 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(5)」
  今回は、「調停」に必要なスキルのお話。

  まず、「対話促進型」調停の目的を考えてみる。それは、紛争当事者の話を相手方当事者の共に聴いて、当事者の本音や感情を引き出し、整理し、そして、問題の解決へと方向付けることである。

  だとすれば、調停人に必要なスキルは、まずは話合いを「方向付ける」ことから、「ファシリテーション」能力ということになる。そして、単なる「ファシリテーション」ではなく、「当事者の本音や感情を引き出し、整理」するのであるから、むしろカウンセリングの重要な技法でもある「傾聴」のスキルも重要となる。さらには、公平・公正・妥当な、あるいは、よりよい問題解決を目指すとすれば、当該紛争領域に関わる専門知識や法的知識なども必要となろう。(他にも必要なスキルはあると思いますが、とりあえず代表的なものを挙げてみた。また、最終的には全人格的な人間力も必要とされるのでしょうが、少々次元が異なるのでここでは割愛させて頂きます。)

  ところで、「ファシリテーション」能力、「傾聴」のスキル、専門知識や法的知識などといったものは、別に「調停人」をせずとも、一般のビジネス・パーソンに必要な「ビジネス・スキル」として、企業内研修や自己啓発研修等で長年取り上げられてきたものであって、特に珍しいスキルではない。あるいは、夫婦間や家族間などでも、これらのスキルを日頃から上手に使うことを怠ると「紛争」(!?)状態に至たることもご自身の経験から想像するに難くないと思われる。

  また、これらのスキルは2当事者間の問題解決に有用であるのみならず、多数当事者間の合意形成の技術としても応用が効くため、活用の範囲は広い。

  そんなこともあって、「調停人」になるか否かは別としても、世の中の「調停人」トレーニングなるものを受講してみることは大変有意義なことだと、トレーニングを生業にするでもないアルマジロは宣伝しているのである。

  ところが、トレーニングを受けて「なーんだ」と高を括り、この世界から去っていくといった輩が多いのは世の常である。そして、そのような輩に限ってこのスキルが大いに欠けており、どのような仕事の場面でも成長が見えない寂しい結末に至っているような気もする。おそらく、トレーニングの内容か、あるいは、自己の能力を大きく誤解してのことだとは思うが・・・

  ビジネス・スキルであれラグビー・スキルであれ、スキルなどというものは理論と実践をバランスよく経験していかなければ身に付かない道具である(生まれ持った人は別として・・・!?)。 したがって、その人なりに、それ相当の努力と習得するまでの時間を覚悟しなければならないことになる。 いわゆる「投資効率」などという考え方は馴染まない世界なのである。
by hayakawa-houmu | 2011-01-24 05:41 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(4)」
  ところで、アルマジロが何故「調停」の世界に足を踏み入れたのか。

  それには理由がふたつある。

  まずは、紛争解決における「司法」に対する不信である。過去にも何度が触れているのでの詳しくは語らないが、この不信があるからこそ「予防・戦略法務」の出番となった。要するに、裁判所のお世話にならないように、個人も法人も法律やリスク管理等を十二分に活用して物事を進めておこうということである。極めて単純且つ明確!

  しかし、悲しいかな、紛争に巻き込まれることを100%回避することは不可能であるのが世の常である。では、万が一紛争に巻き込まれてしまったときでも、裁判所以外の場所で紛争を解決することはできないのか。たとえば、裁判所を使うのに比較して、より短期間に、より低廉に、よりよい解決策を求めることはできないのだろうか。そこで、「裁判外紛争解決手続」(ADR)の登場である。

  こんな考え方から「調停」を初めとする「ADR」に興味を持ち、「予防・戦略法務」の一環として、この道に足をどっぷりと浸けることになったのである。

  もうひとつの理由は、「ADRセンター東京」に出会ったことである。この組織、とりあえずはビジネスになるわけでもないのに(将来米国同様にならないとも限らないが・・・10年スパンの近未来では否定的!?)、その運営者の皆さんは真摯な姿勢で、自己犠牲を払いながらも、この制度の普及に尽力されていることが見てとれた。

  もちろん、そのような努力とて他の組織の努力とは相対的な関係にあるに過ぎない。しかし、そうであっても、アルマジロはこの組織に、兎に角感心したのである。結果として、アルマジロの足はここまでどっぷりと浸かってしまった。

  「縁」とは、本当におかしなものである。
by hayakawa-houmu | 2011-01-19 05:50 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(3)」
  前回は、「調停」には代表的なタイプが3つあることについてお話しました。

  そして、この「調停」に関するタイプも世間(もちろん、法律学を取り巻く「世間」です。そのうちに「折衷型」なんてものも登場するかも・・・)の例外ではなく、巷では「評価型」「妥協要請型」「対話促進型」の優劣を付けたがる方達がいらっしゃるようです。

  この点、アルマジロ的には、学問上の議論はいざ知らず、具体的問題解決のための議論としてはあまり意味がないと思っています。何故なら、どのようなタイプであれ相対的なのであって、良い点・悪い点を各々が持っているわけです。しかも、現実の紛争は実に様々、当事者の性格も価値観も様々なわけです。だとするならば、あるタイプが個別具体的な「ある」紛争の解決に最も適したタイプであるとしても、それをすべてのケースに一般化することは不可能であって、各々の型の資質向上のための議論以外は意味がないと考えるからです。

  したがって、上記のどのタイプを選択するとしても、選択したタイプの限界を知ると共に、個々の事例において当該タイプの最も効果的な使い方を検討することこそが肝要なのだと思います。

  因みに、アルマジロが経営関係の業務の傍ら参加させて頂いているのは、東京都行政書士会・「行政書士ADRセンター東京」という組織であり、「対話促進型」を採用するものです。

(つづく)
by hayakawa-houmu | 2011-01-17 05:40 | 予防・戦略法務のこと
「調停って?(2)」
  さて、「調停」にはいくつかのタイプがあります。たとえば、「評価型」「妥協要請型」「対話促進型」というように呼ばれるものです。

  まず、「評価型」とは、を端的に言ってしまえば裁判所の裁判と同じやり方と言えます。つまり、法規範に具体的な事実を当てはめて結論を導くという、いわゆる法的三段論法の世界です。ここで重要となるのは、法規範に対する理解もさることながら、事実認定という作業が必要となります。事実が認定されるためには、裁判官なり調停人がその事実が存在したのはもっともだ思うに足りる証拠を、当事者が提出しなければなりません。お金を本当に貸していたとしても、証拠がなければ貸したという事実は無かったことになってしまうというのが、単純にいうならば、「評価型」の帰結になり得るということになります。

  二つ目のタイプが、「妥協要請型」と呼ばれるものです。皆さんもこのタイプにはかなり親近感をお持ちかもしれません。たとえば、村の長老を想像してみて下さい。AがBの10万円で買った花瓶を割ってしまったとしても、買ったのは10年も前でそれ以降毎日使っていてキズもかなりあったことだし、二人ともご近所で知らない仲じゃないのだから、Bも10万円支払えなんて言わないで3万円の弁償で勘弁してやれなどと、長老からA・B双方に対して適当な妥協点を見付けて説得するといったタイプです。

  そして、三つ目のタイプが「対話促進型」です。これは、問題解決を紛争当事者双方の話合いに委ね、調停人は当事者双方の話合いを下から支えて問題解決の方向に導くという役割を演じるというものです。当事者双方の話合いで後腐れ無く問題を解決するということは、基本的に本音の話合いとなることが必要となるでしょうから、この点に調停人は相当の神経を使うことになります。このタイプのプロセスは、いわゆる「カウンセラー」の採るプロセスと類似する部分が多く、またいわゆる「ファシリテーター」のプロセスとも似ています。ある意味、紛争当事者を「二人」と限らずとも、それは複数当事者間の「同意形成のプロセス」ということもでるでしょう。

(つづく)
  
by hayakawa-houmu | 2011-01-10 16:18 | 予防・戦略法務のこと


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