法律上の夫婦の子(「嫡出子」)、と婚外子(「非嫡出子」)の相続格差(非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2)を「合憲」とした大法廷判断から15年が経つが、この格差を定めた民法の規定について最高裁大法廷が再び憲法判断を示すことになった。
この規定の背景にあるのは、わが国が採用する法律婚制度の保護。換言すれば、社会のあり方として夫婦は法律上の結婚をすべし、という価値観である。今どきそんな考え方は古い、アメリカやヨーロッパの国々を見てみろ、という声も聞かれそうだが、こればかりは主権国家日本が民主主義に則って定めた法律による社会のあり方なのだから、他の国と比較してみても始まらない。 他方、この相続格差に反対する論拠は、「法の下の平等」を定める憲法に違反している、非嫡出子であるというだけで生まれながらにして差別されるのは不合理だ、生まれてくる子には法律婚をするしないの選択肢もないではないか、現在の世の中を考えればこの規定は不合理だ、などなどである。 ところで、前回の大法廷決定以降、非嫡出子の出生数は約1・5倍に増えているそうだ。前回、最高裁大法廷が合憲判断を示したのは1995年だが、この年に生まれた非嫡出子は約1万4700人(出生数全体の1・2%)だったが、2008年には約2万3000人が非嫡出子として誕生し、出生数全体に占める割合は2・1%に上昇したそうだ。背景には、いわゆる事実婚や「シングルマザー」を選択する人が増えたことがあるのであろう。この間、最高裁大法廷は2008年6月に、両親の婚姻を国籍取得の要件としていた国籍法の規定について、こうした事情を踏まえて「法の下の平等」に反し違憲と判断し、その後、この規定は国会により改正された。 今回大法廷判断においても、これまでの社会情勢の変化によっても非嫡出子の相続分に関するこれまでの規定が合理性を失っていないか否かが焦点となるであろう。「家族」に関する価値観の多様化を最高裁の15人の裁判官がどのように受け止め、憲法との適合性をどう判断するのかが注目されます。 アルマジロ的には、どうしてこのような重要な問題が国会で真剣に討議され、司法判断を仰ぐ前に法律が改正されないのか、とても不思議です。一部議員の猛烈な反対のために、法案の国会提出が見送られたままになっているのです。また、非嫡出子の問題とは少々背景は異なりますが、事実婚の配偶者の相続分はなくてよいのかという問題も議論すべきと考えます。「家族」に関する価値観の多様化という現実から考えれば当然のことと思いますが、皆さんはどのようにお考えになりますか? (これを認めてしまうと、内容によっては、法律婚主義そのものを放棄することになってしまいますが・・・)
by hayakawa-houmu
| 2010-07-28 06:07
| 日々雑感
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