世の中が不景気な時など、やれ「効率が悪い」とか「効率を上げろ」といった指令が社内で飛び交う。たしかに、資本主義的なものの考え方ではより少ない投下資本でより多くのお金を生み出すこと、つまり「高い効率」を求めることは会社経営においては当然である。(ここで資本とは人・もの・金のことだから、不景気でものが売れない時には「人」という投下資本を減らすリストラは会社の立場からいえば至極当たり前のことである。しかし、このことは今回の主題ではない。)
ところで、資本主義の世の中に長いこと浸っていると、この「効率」という道具を相応しくない場面にまで登場させてしまうようだ。「効率」ということが相応しくない場面とは、人間の感情や想いが支配する領域などである。では、感情や想いが支配する領域とはどのような域か。たとえば、他人に謝る時とかお礼をする時、あるいは恋人に誕生日プレゼントをする時などの場面であろう。そして、遺言を書く時や会社の定款を作る時なども想いが支配するべき領域に含まれるのだろうと思う。 遺言を書く時には、残された家族が喧嘩しないようにとか、お世話になった人に私が大切にしてきたこの品物をもらってほしいとか、書き手のさまざまな想いを込めることが通常であろう。また、会社を設立するにあたって定款を作成する時には、この会社をどのような会社にしたいのか、どのように育てていきたいのかという想いを込めて内容を決めていくべきだろう。だとすれば、このような場面では「想いを込める時間」を掛けることが必要不可欠なのだということになる。この時間なくしては、遺言の書き手や会社を設立する人の想いは家族や将来の顧客・取引相手などに伝わるはずもないし、期待する結果を得ることも難しいのである。 このようなことを書くと、書き方が法律で決められていてよくわからないとか時間がないなどと人は言いがちである。しかし、本屋に行って適当なハウツー本を1冊仕入れてくれば、その問題はほとんど解決する。そして、わからない箇所があれば、そこだけ本物の専門家に尋ねてみればよいのだ。この点、遺言であれば家庭裁判所、定款であれば公証役場や地方法務局がお奨め(なんといっても無料だし、電話対応もしてくれます!)。それを、「とてもお忙しいでしょう。私にお任せ下さい」などいった巷の自称専門家のセールス・トークに乗せられてはいけないのだ(すべての自称専門家がそうだというつもりはないが、顧客からすれば危ない専門家にぶちあたる確率の方が圧倒的に高いのが現状である。これ、アルマジロの経験則他による・・・)。 何れにしても、何か特別な理由でどうしても時間がとれない時などは別としても、「想いを込める時間」は十二分に持つべきだと思います。この時間は決して無駄な時間などではなく、自身の気持ちを整理し他人に伝えるための、とても重要な時間だと考えています。 そういえば・・・アルマジロが何十年も前に頂いた手編みのセーターやマフラーをいまだに捨てられないのも、編んでくれた人の想い故なのかもしれませんね!? P.S. 因みに当事務所では、特別なご事情のない限り、無料相談で要点を掴んで頂き、ご自身でお書きになることをお奨めしております。また、「内容を一緒に考えてもらいたい」というお客様のご依頼がある場合には、「想いを込める時間」をご一緒させて頂くという形でお引き受けしております。
by hayakawa-houmu
| 2010-05-24 05:48
| 日々雑感
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