年々、 「遺言」を書く人が増えているそうです。自分が死んだ後に、残された親族間に争いごとが起きないようにすることが主な目的です。
ご存じの方も多いと思いますが、一般的な「遺言」の方式には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります(その他、一般的ではありませんが「秘密証書遺言」というものもあります)。「自筆証書遺言」とは、文字通り、法律で定められた方式に則り自書した「遺言」です。また、「公正証書遺言」は、公証役場で「遺言」を公正証書として作成してもらうものです。 両者には一長一短があり、「公正証書遺言」は偽造・変造や隠匿・紛失などの心配もなく、家庭裁判所の検認という手続も不要ですが、公証役場での費用として数十万円(遺産の額にもよりますが・・・)を要します。他方、「自筆証書遺言」の場合には特別な費用は掛かりませんが、偽造・変造や隠匿・紛失などの心配があり、家庭裁判所の検認という手続も必要です。また、当該「自筆証書遺言」に、法律の定める方式に欠けているところがあれば、その「遺言」は無効となり、その用を足しません。最近の統計では、「公正証書遺言」の数が増加しているようです。 よく耳にする話として、「ウチはめぼしい財産もないから、遺言を書いておく必要はない」とか、「ウチの家族は仲がよいので、遺言を書いておく必要はない」というものがあります。しかし、過去の先例によると、このように話している人達ほど、遺言を書いておく必要があるようですね。「めぼしい財産がない」場合や「家族の仲がよい」場合でも、遺産分割に関して骨肉の争いになることが少なくないようです。皆さん、お気を付けあれ! ところで、「遺言」とは、残されるであろう財産の行き先を指定したり、相続人各々の取り分を指定することが主な内容となるわけですが、亡くなっていくであろう方の家族に対する思いを書き添えることが重要であると感じます。つまり、故人の家族に対する思いが相続人全員に伝わらなければ、遺言の内容に納得できない相続人が出現する可能性が高まり、「遺言」があるにも拘らず、改めて遺産分割協議をせざるを得ない状況にも陥らないとも限りません。また、故人の家族に対する思いを聞かされることにより、残された人々の故人に対する思いが深まり、家族や親族がより一層結束することにもつながると思います。
by hayakawa-houmu
| 2009-09-02 09:42
| 予防・戦略法務のこと
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